ある少女ふうの話2

ふうは、お姉ちゃん。小さくてもお姉ちゃんだから、自分を小さいなんて幼いなんて感じた記憶がない。唯一つ、あとからそう感じた時がやってくるのだけど。
ふうは、生まれた場所が、景色が、今思えば好きだった。印象強いのは、綺麗な明るい土色の土。少しの公園遊具。何かわかんないまま子供達が遊んでた小さな公会堂の剥き出しの敷地のコンクリにあるマンホール。
雑草は、ふうには遊ぶアイテムだったり、友達だったりした。
ある日、遠い親戚の同い年の女の子が、街から近所に来て、ふうの家の庭に、遊ぼうって来てくれた。ふうは窓からキラキラした目をして、後には楽しく外に出て遊んだ。
約束をして帰った。
次の日、また遊べた。楽しかった。
ケンカなんかなくて笑うばかりできた。
約束をして帰った。
次の日、遊びには行かせてもらえなかった。
窓から、寂しそうに去る女の子の背中を見えなくなるまで見ていた。ふうの目はキラキラじゃない。まだ理解できない、心のままの何かが瞳を覆っていた。
その次も、もう、遊んじゃだめだった。その子とはだめだった。
悲しいだけだった。ふうには、悲しさと、その子がどうしているか気になるのとで、そこから先は記憶に消えた。
飛び飛びで、わからないことだらけの、ふうの5歳と6歳。自転車を乗れるようにしてもらったことは思い出す。
好きだった、土色の、ふうには広大な景色と、緑の草たち。
自分の思いを話すなんて、知らなかった。日々が流れて、ふうは少しずつ背が伸びたりなんかしたのかな。
小さな商店になった小さなトラックが来た日には、欲しいものをおねだりしてみたと思う。チューペットと細長いソーセージかな。おやつ。
お家のご飯は忘れた。近所の親戚のお家に行けば決まってちらし寿司だったっけ。小さなシイタケが本当は苦手だった。
いつでもふうは、おとなしくして、怒られないようにしていた。
だけどやっぱり、夜寝る時、お母さんの隣で引っ付いて寝たかったのを言えなかった。
そして、ふうはなぜか、虫歯だらけだった。
歯磨き、いつからしたか、ハブラシを覚えていない。
……To be continued

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心に花束を唇に微笑みとメロディを

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