ある少女ふうの話3


ふうが5歳の時に逆さになって怖かった記憶。ふうはずっと自分のせいだと思っていた。2歳の妹が自宅2階階段から転げ落ちてしまった。その事を思い知るようにと、階段に足を持たれて逆さにされたんだった。ごめんなさいを何回言ったかな。パズルの1ピースみたいにそのシーンがずっとあって。捨てたくてもずっと。
それでも外の揺れる電線を見ながら不安で泣きそうになりながらお留守していた時は、あれは、外が台風だったんだ。
あのお家には、それ以上にどんな思い出があったかな。ゴキブリを初めて見て驚いたことぐらいかな。間取りぐらいはなんとなくぼんやり思い出す。
それからしばらくたってから山の上の家に住んだはず。神様のいらっしゃる、1番覚えている風景の場所。6歳の終わりまでだった。
カマキリや、ナナフシなんかの虫に逃げながら、ふうが外で遊べた思い出。たまに優しいおねえさんが遊んでくれて、気に入ったチューペットやソーセージのおやつを、いくつも食べさせてくれたなぁ。ふうのあたたかい時間。大好きだった近所の親戚のおねえさん。
ふうがいた山の上の場所は、親戚が集まって暮らしていた。ふうには、色んな匂いが記憶にある。無口だけど嫌な顔せずに自由に仕事場に居させてくれたおじいさんとこの匂い。おじいさんのするお仕事の音しか聞こえなかったけどなんだか落ち着いた。
外は、お日様の匂いと風の匂い。神様のところの大きな木。
覚えているのは、暖かい季節な気がする。

……To be continued

Mainn heart page

心に花束を唇に微笑みとメロディを

0コメント

  • 1000 / 1000