あるふうの話6
ふうはね、スカートを好んだり小さなバッグを腕にかけたりは好まない、男の子っぽい活動的な女の子だった。髪は縛ったりはしていたけど、全然おしとやかとは言えない活発な子だった。いつからかな、そういえば、妹に比べられては、分けられていた気がする。妹は成長と共にふうと反対で、泣いたりモジモジしたり、甘えん坊。ふうは、お姉ちゃんだから、隠してきたから、そのまま。
だけどふうだってだんだん、赤いスカート履いてみたいとか、あのカバン可愛いから持ちたいとか、リボンつけてみたいとか、黙ってただけなんだよ。でも、妹の方が似合うね、って。パジャマも、フリフリで可愛いの、嬉しいのに、ふうはブルーで、妹はピンクだった。ピンクが良かった。あれだけはピンクが欲しかった。言わなかったけど。
うん、遠く思い出しても、決められてたし、そんなシール貼られたようなだったなぁ。
だって、大人になった頃、どこかのお客さんに会う時、ふうより妹が女の子らしくてすごくオシャレだし、お化粧したら綺麗だから、ふうは連れて歩いてはもらえなかった。
その頃からふうは、もっともっと自分は可愛いくない、綺麗には見えない、って、抱いていた夢も誰にも話せずに過ぎていった。
妹達と、ふうとは、好みが元々反対だったし、そのせいでふうの選んでプレゼントした物はいつも捨てられるが如く姿をなくしていた気がする。もうずっと前からふうは、妹達に自分は自信が無かったんだ。
「お前は付いてくるな。」「妹を連れて来たら良かった」「お前は、おてもやんだもんな、あはは」「お姉ちゃんは、そこら辺の野に咲く花みたいな平凡な子だから」
「そんな色の服着て!」
「そんなゴミ袋みたいなズボン履いて!」
「ババアみたいな帽子被って、どこがいいの。そんなの好きなの?」
ある日、ずっと年下の弟に、
「これ、要らんからあげるわ」
弟の部屋着の古着だった。
ふうは、ちゃんと自分で選んで、色んな服、持っていたよ。
……To be continued
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