あるふうの話5


ふうの切れ切れな思い出の中に、保育園でお迎えが来た時の場面がある。ふうには、仲良しのお友達に、メガネをかけておかっぱ頭で色白の可愛い女の子が居た。もう名前は忘れたけど。
その時ふうにはスローモーションに見えた。気持ちは、せつなかった。
そのお友達の両手を握ってクルクルと優しく回して笑わせてあげている。母。
ふうも…あんなふうにやってもらいたい。
お友達が楽しそうにコロコロ笑っている。回してる方も、柔らかな笑顔でお友達の目を見て、繰り返し、可愛いね、って言いたげな顔をしていた。
ふうの気持ちは、やきもちだった。
してあげる、って、してもらいたいな。
そんな思い出の中に入った時はいつも真顔になるんだった。

ふうはお姉ちゃん。三つ下の妹のお姉ちゃん。妹に触れている場面を見ているばかりの、多分気持ちを隠していたふうが、6歳にあったはず。

小学校入学する時に合わせて、ふうは山の上の家から都会に引っ越した。全く知らない景色と、言葉の端々。山はなかったけど、近くに雑木林があった。幼いから子供だけでは行かなかった。
周りに住む新しいお友達は親切で、そこでの話し言葉を教えてくれたし、外で遊ぶのにさそってくれて、よく空き地や、土がただ置かれてるだけの少し山形になったとこで、石や草なんかで何でもない遊びをしたっけな。
家は、ベランダに、赤い紅雀を飼っていた。ピーコ。ふとしたミスで籠から飛び出して、ベランダ傍の電線に止まってて、手遅れで飛んでいってしまったけど、小さくて可愛かった。下に住む人は、真っ白な大きな犬を飼っていたなぁ。

……To be continued

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心に花束を唇に微笑みとメロディを

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